インスタコード初期モデル IC-30 の弾き心地を改善し、2022年11月に発売した新モデルと同等品に変えるための分解修理方法をご説明します。
こんな作業です
ユーザーの ayu さんが作業の様子をYouTube にアップしてくれました。
作業の手順は下の記事をしっかりと読んでいただきたいですが、作業の雰囲気や体験談は参考になると思います。
用意するもの
- プラスドライバー
- ハサミ
- ニッパー(または爪切り)
- ピンセット
- アセテートテープ(またはビニールテープ)
+まとまった時間(1時間くらいは覚悟して下さい)
パッドの構造と感度調整の方法
インスタコードのパッドは、上下方向からも横方向からも圧力を感知する構造になっています。
しかし、本体ボディの個体差によって、パッドの上下方向に隙間(アソビ)があると、横からの力を感知しにくくなります。
そこで、パッドの底にテープを貼って、本体とのアソビを小さくすることで、感度を調節できます。
事前の準備
パッドの底に、テープを2枚重ねて貼ります。
アセテートテープ(粘着力が強く安定性が高いですが入手しづらい)またはビニールテープを、幅4~5mm、長さ4cm程度に切って、パッドの底に2枚重ねて貼って下さい。
テープは標準的な厚み(0.2mm程度)をおすすめします。
いずれも、パッドの底面のサイズにピッタリ合わなくても大丈夫です。
幅方向は、多少はみ出す程度。
長さ方向は、多少短い程度にカットして下さい。
新しいパッドは、パッドが押しっぱなしになることを防ぐため、高さに余裕を持たせて設計しているため、事前に高さを上げている方が調整しやすくなります。
本体の分解
ネジを外す
3箇所のゴム足を外します。
ゴム足は、指で外せます。
プラスドライバーで5箇所のネジを外します。
本機は大・小2種類のネジを使用していますが、こちらは大きいネジです。
中央の2つは本体に残る場合がありますが、そのままでも大丈夫です。
爪を外す
本体ボディ上下のパーツは、数か所の爪で噛み合っています。
まず、本体先端部を、爪でこじ開けるか、鋭利なものを差し込んで、パカっと外します。
本体両脇は“下側のボディ”を押し込むようにして外します。
最後は、上下のボディをこじ開けるように引っ張って外します。
この時、本体に残っていた2つのネジが外れるので注意して下さい。
本体内部
こちらがインスタコードの内部構造です。
Button borad と Pad board を外します。
ちなみに、1stロットと、2ndロットで内部構造が異なります。
2ndロット以降は、ケーブルがスポンジで覆われているので、少し分解しにくくなっています。
ボタンの交換
ボタン基板を外す
ボタン基板のネジを外します。
本機は、大・小 2種類のネジを使っていますが、こちらは小さいネジです。
ネジを外したら、基板とゴムパッドを外します。
基板のケーブルはつながったままで問題ありません。
ボタンの交換
新しいボタンは、位置によって高さが異なります。
ホールドスタイルでの操作性が改善します。
ボタンは全てのパーツがつながっています。プラモデルみたいですよね。
パーツは手でも取り外せますが、ゲート(接続部分)が残らないよう、ニッパーか爪切りできれいに取り除いて下さい。
図を見ながらボタンを取り付けて下さい。
~(スワップ)、♭(フラット)ボタンは、傾斜の向きに注意して下さい。
他のボタンはスリットが入っているので、誤った向きに配置できないようになっています。
凸があるボタンは中央に配置して下さい。
交換を終えたら、ゴムパッドと基板を元の状態に戻して下さい。
パッドの交換
パッド基板を外す
パッド基板のネジを外します。
こちらは小さなネジです。
パッド基板に貼り付いているケーブルを外します。
クリップを外し、テープを剥がして、ケーブルを持ち上げて下さい。
パッド基板を裏返します。この時、開けたクリップを閉めておくと外しやすくなります。
次にパッド下の受けゴムを取り外します。
ご注意
基板の裏側、6つの小さな穴に入っている黒い部品「感圧導電ゴム」をなくさないように気をつけてください。
パッドの交換
パッドを新しいパッドと交換して下さい。
ピンセットなどを使うと着脱しやすくなります。
動作確認
受けゴムを固定する
本体を少し持ち上げながら、受けゴムを取り付け、溝にピッタリはめて下さい。
基板を固定する
動作確認の際は、下図の4つのネジで基板を固定して下さい。
黒い丸印で示したネジは外したままで大丈夫です。
大きいネジは、上下のボディを接続していたネジです。
感度チェック
基板はむき出しのままで起動して、メニューからPad Sensitivity を選択し、感度の確認を行って下さい。
【どうなればOK?】
写真の上下方向(ダウンストローク、アップストローク方向)に軽く動かしてメーターが動くようになればOKです。
【感度が弱い】とは?
パッドを動かしてもメーターが動かない場合、感度が弱いので調整が必要です。
【感度が高すぎる】とは?
パッドに触れていないのにメーターが伸びている場合、感度が高すぎるので調整が必要です。
感度の調整
全体的に感度が弱い場合
全体的にパッドの感度が弱い場合、もし、ネジ穴にテープが付いていれば外してみて下さい。
パッドの感度が全体的に向上します。
特定のパッドの感度が弱い場合
横からの力に反応しない場合、パッドの高さを上げる必要があります。
基板のネジを外して、受けゴムのみを外してください。
感度が弱いパッドと同じ位置に、幅5~6mm、長さ4cm程度に切ったテープを貼って下さい。
1枚ずつ増やして丁度いい感度に合わせて下さい。
ゴムとテープは粘着力が弱いのでしっかり貼り付けてください。
感度が高すぎる
パッドが押しっぱなしになる場合は感度が高すぎるので下の3つを試して下さい
1)本体の汚れを取り除く
2)パッド底のテープを減らす
3)ネジ穴にテープを貼る
本体の汚れを取り除く
本体のパッドをはめ込む溝にホコリが溜まっていると正しく反応しません。
本体の溝をきれいにして下さい。
テープを減らす
パッドの底に2枚貼ったテープを剥がして、1枚、またはテープを貼らない状態に変えてみて下さい。
ネジ穴にテープを貼る
アセテートテープ(またはビニールテープ)に穴を開けてネジ穴に貼って下さい。
ネジ穴が高くなると、本体と基板の隙間が開くので、パッドの感度が弱くなります。
組み立て
感度調整が完了したら組み立てます。
組み立ての際は、大きなネジを外して下さい。
このネジは上下のボディを接続するネジです。
以上で終了です!
お疲れ様でした!
こんな時は?
パッドがカチカチ鳴る
ストラムの時に、パッドがカチカチ音がなる場合は2つの問題を確認してみてください。
パッドが低すぎる
テープの枚数を増やして、押しっぱなしにならない程度にパッドの高さを上げてください。
ストラムの力が強すぎる
パッドを本体に押さえつけるように力を加えるとカチカチと音が鳴りやすいです。
正しく調整すれば、弱い力でもしっかり音が鳴ります。
特定のパッドが反応しなくなった
感圧導電ゴムが紛失している可能性があります。
パッド基板の裏側、小さな6つの穴に入っているゴムパーツが揃っているかどうか確認して下さい。紛失してしまった場合は、有償にてパーツをお送りしますので修理依頼フォームからご相談下さい。
動作しなくなった
基板をつなげるケーブルが断線していないかどうかご確認下さい。
原因がわからない場合は有償で修理を承りますので修理依頼フォームからご相談下さい。
ネジがなくなった
スピーカーの磁力に引き寄せられて、テープがスピーカー表面に付着する場合があります。
スピーカーを外して確認してみて下さい。
ネジが付着することで、スピーカーの品質が落ちる場合があります。
スピーカーのみの部品販売も行なっておりますので、修理依頼フォームからご相談下さい。